ヤクルトレディ

伊吹達郎

2012年03月23日 23:31





埼玉県入間市・小谷田の住宅でおよそ10日間分の新聞がたまっているのを不審に思ったヤクルトの女性販売員が交番に届け出ました。警察が駆けつけたところ、部屋の1階で75歳の女性が死亡しているのが見つかり、一緒に住む重い障害を患っていた女性の二男(45)が無事に保護されました。
通報したヤクルト販売員・田中加奈子さんは「先々週、お母さんに会ったとき、顔色がすぐれず、体調が悪いと言っていた。きのう新聞受けに新聞がたまっていたので通報した」と言っていました。
女性は病死とみられていて、二男は女性に介護されていましたが、保護されたことで、その後、病院に運ばれたということです。狭山警察署と地元のヤクルト販売店は、先月の10日に入間市内のヤクルト販売会社と協定を結び、防犯チラシを配布したり、異常があれば通報してもらう取り決めをしていました。同署は、放置すれば男性が餓死する可能性があったとみており、佐々木幸副署長は「通報してくれたため、男性が亡くなる最悪の事態を免れた」と話していました。担当地域に毎日商品をお届けしているヤクルトレディは、地域のすみずみにまで目が届くことから、各地の警察等と連携して地域の安全・安心へのお手伝いをされている活動が改めて評価されたところです。

ヤクルトレディが商品をお届けしながら、独り暮らしのお年寄りの安否を確認したり、話し相手になるという活動『愛の訪問活動』は、1972年から続けられています。
この活動は、福島県郡山市の一人のヤクルトレディが、誰にも看取られることなく亡くなった独り暮らしのお年寄りの話に胸を痛め、担当地域に暮らしている独り暮らしのお年寄りに自費で「ヤクルト」をお届けしたことが始まりです。
この活動に販売会社や地域の民生委員の方々が共鳴し、さらには自治体をも動かして全国的に広がっていきました。「愛の訪問活動」は、ボランティア活動に携わる方々や行政からも非常に高い評価をされており、1991年には、経済広報センターから「優秀企業広報特別賞」を、1994年には「ボランティア功労賞」として厚生大臣(当時)の表彰を受けています。

ヤクルトレディと警察の迅速な行動で最悪の事態を回避することができました。
地域の連携、声をかけることの大切さをあらためて思いました。